衛生管理者の苦悩~コロナ禍の今、果すべき役割を考える~

衛生管理者の苦悩 仕事
この記事は約26分で読めます。

コロナ禍の最中、衛生管理者として直面している悩み事や責務へどう向き合うべきか?
実務を通じて私なりの想いや観点を綴らせて戴きます。

記事は①任務遂行に対する自身の思考回路、②苦悩 ③資格取得への取り組み紹介 
の3つの構成としております。

なお、資格の取得自体は比較的容易とされていますが
実務の難易度は善くも悪くもゼロから無限大と言うのが率直な感想で
資格取得後を見据えたキャリアプランの参考となれば幸いです。

衛生管理者をご存知ない方は
目次より「衛生管理者とは?」からご覧頂ければと思います。

また既に資格は取得した方で、これから実務に入る方は参考までに以下記事もご覧ください。

衛生管理者の実務で使いたい★Amazon★お勧めアイテム紹介

報われる仕事とは・・・

突然ですが、お勤めされてみえる皆様は何故働いているのでしょうか?

言うまでも無く一番に来る理由はお金を得る為でしょう。

もちろん、世の為、人の為と仕事を通じた貢献を重視される方も大勢みえるかと思いますが、
無償で働きますよと言うのはボランティアです。

詰まるところ、給料は多く貰えるに越したことはありませんよね。

ですが、給与さえたっぷり貰えれば何だって良い、何でもやる!かと言われると
そう単純な話ではなく、人それぞれの「想うところ」があるかと思います。

ヒトには感情があり、その感情の状態で行動の選択肢が変わることは極々自然な事で
どんなに有能な人でも「モチベーションの源」になるものが無い状態が続けば
給与以上の働きを提供する事はおろか、給与に相当する成果を出し続けることすら
困難になることでしょう。


給与額以外の「モチベーションの源」の一つとして
私は「やり甲斐」の有無が大きく関係する要素だと思っています。

何かしら「良い方向に作用する変化」をもたらせる活動が仕事であり
「変化の度合い」は貢献度と言い換えられるでしょう。

この「変化の度合い」ですが、シンプルに行った行為が形となる
すなわち成果として目に見えるものは貢献度が可視化されるので
達成感を得られやすい
かと思います。

それは売上額が増加したり、不良発生率が下がったり
正確性が向上したりと数値化やビフォーアフターの比較ができるものは
より達成具合いも表現しやすいでしょう。

逆に、成果として目に見えにくいものはどうでなんでしょうか?

成果が視えれば周囲からの理解や評価も得られるし、
現実的な対価としての査定も上がることでしょう。

前置きが長くなりました。

衛生管理者の業務は果たして「やり甲斐」が持てる仕事なんでしょうか?

正直に言えば、「やり甲斐」は大いにある
あまり報われることは無いという感じですね。

決して「花道」は歩めないが、ガードレールや地盤を創る仕事であるかと。
つまり、裏方で派手さはありませんが、自身の志ひとつで
企業運営への関与度合いが大きく変わるというポテンシャルがありそうです。

消火器の概念

みなさん、ゼロが目標の仕事って何か思い当たりますか?

営業マンA「部長、今日は契約0件獲得しました!」
部長 「よくやった!!キミは本当に優秀だなッ、今日はもう帰ってこなくてもいいよ」

・・・絶対違いますよね。

いわゆる、予防系の仕事

不良品の発生やサービスに対するクレームなど
「起きない方が良い」という類を防ぐ業務がこれに当たります。

衛生管理者の重要な責務である「健康障害の防止」のひとつとして
感染予防対策があり、こちらは予防系に属するものになります。

ところで、皆様の職場には「消火器」ってものはございますか?

火災が発生しない限り、「存在感」や「有難み」を感じられる代物ではない
アノ赤い圧力容器ですが、価格としては数千円~数万円と
性能・用途・サイズで色々とバリエーションがあり
備えとして高品質なものが潤沢にあれば安心ですよね?

では一体、消火器はどの程度準備しておくのが正解なのでしょうか?

そもそもいつ起こるのか、永遠と起こらないかも知れない事象というのは
人の関心も薄いものです。

基本的に必要に迫られる物事や、リアルに直面している顕在化した問題が注目され
優先的に予算が割り振られるのが一般的な話だと思います。

万一への備えとしての「保険」でプランの選定で悩んだり
保険料が高く感じてしまうのは
やはり「不確定な物事」起こってみないと判らないので正確に見積もれないからです。

つまり未来の予想に完全な正解を求めるのは無理があるというのが私の考えです。

費用対効果

極力少ない資源で最大の効果を上げること・・・

カッコよく言い換えれば最小のインプットから
最大のアウトプットを得ることについては
利益率を上昇させるうえで重要な考えです。

資源とは、労力や時間、投資額などを指し
効率性や有効性を高めてインプットとアウトプットの差を
大きくする事で利益率は上昇します。

ここでは利益「額」ではなく利益「率」と表現していますが

例えば仕入れと売り上げの話で①と②の違いは何でしょう?

①仕入れ50万円の商品を100万円で販売(差額50万円)

②仕入れ500万円の商品を1000万円で販売(差額500万円)

単純に差額を利益として考えた場合、利益額は違えど利益率としては「同じ」です。

では③の場合はどうでしょう?

③仕入れ10万円の商品を100万円で販売(差額90万円)

①と③では同じ販売額100万円ですが、利益(差額)は50万円と90万円と差があります。

簡単に整理してみると

①売上100万円  利益率50%
②売上1000万円 利益率50%
③売上100万円  利益率90%

どうでしょうか?

企業データを見た際に、はじめに目に入るのは売り上げ総額ですが
私はこういった「率」を非常に重視しています。

効率の悪いことでも、規模の拡大や時間を掛ければ
それなりに売り上げ総額は上昇しますが
その構造の「質」、つまり「効率」や「有効性」
向上させなければ、労働時間が長くなるだけに過ぎないと考えています。

簡単な話、1時間当たり同じ労力の仕事があり、
時給¥900と時給¥1,500どちらを選びますか?と聞かれて
前者を選ぶ方はいないでしょう。

いきなり利益の話を入れてしまいましたが、企業の多くは
慈善事業ではなく利益追求団体と言うのが現実的なところかと思います。

この様な企業で働くうえで
「利益を度外視する綺麗ごと」は簡単には通用しません。

何か新しいことを始める際には
必ず投資に見合った「成果」が要求されます。

つまり、常に費用対効果いわゆるコストパフォーマンスについて
経営者に「魅力的に思わせる根拠」を武装していないと戦えないのです。

この時、量ではなく質の方が大切だと私は思うのです。

リスクアセスメント

仕事において、費用対効果の考えも重要ですが
忘れてはならないのが「優先順位」です。

もちろん、製品やサービスの提供には納期がある訳ですが、
ここでは納期という意味ではなく
何を重要視して優先的に対応するかという考え方を指します。

この優先順位を決定する手法として様々な場面で
「リスクアセスメント」が用いられています。

労働安全衛生法においても、取り組む対策の優先順位付けに
この手法を用いることを努力義務としています。
詳しくはこちらのサイト様で説明されてみえます。

職場のあんぜんサイト:リスクアセスメント

リスクアセスメントの「リスク」という言葉の定義は
使用する場面で意味合いが若干変わってきます。


「安全衛生」に関し、要約して言えば
怪我や健康被害の程度と、それが発生する確率や頻度の
「積」(または「加算」の場合もあります)で算出した数値となります。

つまり、シンプルに表現すると

リスク=被害の大きさx発生確率または発生頻度

といったイメージです。

このリスクの値が高いものを低くしよう、優先的に対応しましょうということですね。

この手法のポイントですが、決してリスクをゼロにすることを求めているのではなく
リスクを受容じゅよう可能なレベルにまで下げる対策をおこないましょうという事です。

例えば、骨折の危険性がある操作や作業に対策を行い
ちょっとした接触や酷くても軽微な打撲程度にまで危険性を低減できれば
合理的に対応できたということになります。

トレードオフへの向き合い方

「リスクを受容じゅよう可能なレベルにまで下げる」

ハイ、これが一番の悩みどころです。

言葉では簡単に表現できますが
今回の記事を作成しようとした核心部の話になります。

何故、なぜ、ナゼ、NAZE・・・

何故にゼロではなく、受容じゅよう可能なレベルとしているのか?

答えは簡単です。

ゼロにする事ができないからです。

みなさん、お金を稼ぐ事には多かれ少なかれ
「必ず何らかの犠牲を支払っている事」を認識されてみえるでしょうか?

仕事をするには時間を要します。
時間とは他ならぬ自分の命の時間です。

よくビジネスの話で、仕組みが勝手にお金を生み出すとかありますが、
その仕組みを生み出すまでに必ず時間やアイデアなどを要しているはずで
決して犠牲がゼロというのはあり得ない話なのです。

「何かを得るには何かを失っている」


これをトレードオフ(trade-off)と言いいますが
これは安全衛生にも同じことが言える訳です。

何かをしようとすれば、何かと災難に遭うことも多いというたとえで
「犬も歩けば棒に当たる」ということわざもあります。

コロナ禍で果すべき安全配慮義務

先に説明したリスクアセスメントの手法は「リスクを見積もれる場合」に有効な手法です。

しかし、得たいの知れない、実態・実体がよく判らない事象には適用できません。

パンデミックを引き起こしたとされる

「新型コロナウイルスCOVID-19」。

情報化社会の現代、新型コロナウイルスCOVID-19についても
色々な事が判明してきています。

感染のメカニズムや予防についても今となっては
聞き飽きるほど繰り返し開示・説明されているのでここでは割愛しますが
特記すべき特徴としては以下の2つでしょうか。

感染後、発症までの潜伏期間が1~14日間と最大期間が長い

「発症する2日前から発症後7~10日間程度が感染可能期間」

→ 発症数日前の無症状の時期でも感染し、感染力のピークが発症前~発症当日に訪れる
→ 感染しても無症状で経過する場合もある(無症状病原体保有者)

ちなみに捕捉的に感染力の強さはどの程度かですが・・・

新型コロナウイルスの「基本再生産数」は1.4~2.5(ソース:WHO)
インフルエンザで1.4~4人程度とされています。
※基本再生産数は感染力の強さを示す指標のひとつです。
詳しくは、こちらのサイト様【新型コロナウイルス、「基本再生産数」と「実効再生産数」の違い】で解り易く解説されています。

特記事項としてピックアップした理由は「不確定要素」が大きいからです。

どちらも後になってから判る事ですので「~かも知れない」ことへの予防
つまりここでは感染防止対策をどこまで行うか?という問いに対し
正解など判る訳も無いのです。

ですが、会社(事業主)はもとより、衛生管理者は
従業員の安全と健康を妥当な範囲で保証する責務があり
これを安全配慮義務と呼んでいます。

例えば、怪我をし易い状況や健康危害が出る様な環境を放置すれば
安全配慮義務違反となり、場合によっては民法の規定をもとに
労働者から損害賠償を請求されることも考えられます。

新型コロナウィルス感染拡大防止への取り組みも安全配慮義務

もちろん、一般に言われている感染拡大予防対策について

簡易的なものは進めています。

従業員へのマスク着用、手洗い・うがいの励行、消毒液の設置、飛沫飛散防止シートの設置や食堂の座席の配置、換気etc・・・。また、時間に余裕があった際は、ドアノブや扉開閉スイッチなど接触機会の多い箇所の消毒も実施したり。

とりわけ、従業員の体調管理としては
出勤前または出勤時に各自の検温実施による体調チェックを導入し、
勤務中の発熱や体調不良の訴えなどまめに確認する体制としていました。

なお私が勤務している工場は、オートメーション設備もほとんど無く
手作業が主流の職場であるのでテレワークの導入の余地は無く
Web会議を適用するぐらいでした。

で、ブログのタイトルですがココで発動させて戴きます。

「どこまで徹底してやるのか?」

あれこれ言い出したら、とにかくキリが無い。

費用対効果の話をさせて戴きましたが、予防対策もタダではできません。

必ずなんらかのコストが掛かる訳です。

リスクが高いと思われるところを優先的に対応してゆくのが王道ですが・・・

それは簡単な話ではありません。

何故ならリスクへの対応とは、対象とする前提を限定しないと始まりません。

例えば、感染は1人だけなら絶対に拡大しません。
当たり前ですが、感染の対象があって初めて成立する話ですよね。

時間差出勤、フレックスなど同時間での集合人数を減らすことによって
リスクを低減させることは理解できますが
その究極は全員出社しなければよいという事になりますよね?

ですが、これでは会社が潰れてしまうので・・・
何とか出来る範囲でとなる訳です。

では、妥当なラインとはどこにあるのか?

これは詰まるところ、先に述べた

「トレードオフ」の着地点になるかと思います。

この場合で言うトレードオフとは、「感染予防vs企業の営業活動」を指し
平たく言えば「命vs賃金」という図になるかと。


もっとも「賃金」は命を支える財源でもあるので
これまた難しい話になります。


政府が緊急事態宣言を出す出さないの話は、こういった経済的に生活が
成り立たないといった背景にも左右されていると言えるでしょう。



さて、問題はここからです。

国や県からの具体的な指示命令があれば、従うだけの話なので単純明瞭です。

ですが、お願いごとや「努力して下さい。具体的判断や対応は各企業にお任せします」
という内容は各企業自身が采配を振ることとなります。

もっとも、企業は星の数だけあり、その数分の業務形態や規模、管理手法など
あらゆる条件が異なるので一律に具体的な方法を示すことには無理があるのですが。

そして、企業自身の采配については、本来経営層が率先して振ってくれれば良いのですが
そもそも危機管理の対象として見ていなかったり、曖昧な状態で放置していたり
といったケースが多いのではないでしょうか?

こういった絶対的な前提設定が不明な中で
衛生管理者としては、どう振舞えば良いのでしょう?

もちろん「従業員の安全と健康を護る使命」がある訳ですから
少なくとも簡易的に出来る対策は進めているものの、
企業の利益構造が変わってしまう様な対策を提言するとなると
それ相応のリスクを提示しなければなりません。

このリスクについては単純に考えれば
人命の危機はもとより、企業内での感染が判明して
営業活動を停止する損失との設定になるのでしょうが
その見込みが判らない以上、リスクを定量化するのは簡単ではないのです。

更には各対策の効果を検証しているワケでもなく・・・
いや、研究機関でもないので検証できないが正解です。

咳1回当たりの飛沫数や、会話・呼気による時間換算の飛沫含有数の参考値の情報、換気量の計算など試算の材料が全くゼロというワケではありません。
無数の条件があるので、それぞれの効果の程度や持続性など一律に評価できないという意味です。例えば、ウィルスに消毒液を散布したとしましょう。
ウィルスの初期存在数や付着基盤の材質、消毒液の有効成分濃度、散布量、経過時間、温度帯など様々な条件の違いが考えられます。条件が違えば効果が変わるので、検証には一定条件下での比較が必要になります。単純に消毒液を散布したからOKとは言えないということです。

そして必ず出てくるのがバランス感の問題。

Aだけ対策してBはいいのか?

当然、AもBも対策できるに越したことはありません。

しかし、対応資源(人手、時間、コスト)に限りがある中では
リスクに応じた対応順序に従うしかありません。

従業員間の感染防止として自己体調チェックによる出社制限を設けていましたが
従業員より、たまに来場される社外の方からの感染を怖れる声が上がり・・・

取引先を手厚く、もてなしたい本社からは難色を示されたものの・・・

社外からの来場者で10分以上の滞在が見込まれる方に限定して
自己体調チェックと引き換えの入場許可証をお渡しすることとしました。

10分以上としたのは濃厚接触のラインとされる15分に
安全係数を見込んだイメージです。

 許可証はストラップで首から吊るします。

なお、こちらの取り組みも社員同様に虚偽報告はしないという
誓約をお願いしての自己チェックに留めています。

検温を第三者による強制的実施とせず自己に委ねていることについては
私なりの3つの考えに基づくものです。

1つは、37.5℃の発熱が無くても感染させるリスクはあるので
体温だけの判断としないこと。

2つめは、プライバシーへの配慮や、ガチガチに検問染みた監視状態とすることで
必要以上に閉塞感や恐怖心を与えてしまうことを懸念したからです。
その分、体調不良を感じた際には打ち明けやすい環境づくり
従業員の体調観察に注力しています。

そして3つめは総人口に対する感染状況です。

感染リスクを計る

こちらは、2021/1/22公開データを基に、総人口に対する感染者数の比率を算出したものです。

コロナ感染者数

東京では新規感染者数がピーク時に2447人となった1/7と比較すると6割ほどとなった状態ですが1471人と1000人オーバーのデータを参考例としてピックアップしました(直近では更に減少傾向となっています)。

医療機関のひっ迫などの問題は別として、日々報道されている感染についての
リスクはどの程度かというのを実感できる様に【何に中に1人か】という確率に換算しています。

報道情報では、感染者数と新規感染者数の2つ出されていますが
既に感染が発覚した方が出歩かないと考えた場合
注目すべきは新規感染者数かと考えます。

もちろん、無自覚や検査待ちといった件数を加味すると
確率は上昇するのですが、ザックリと把握することが目的なので無視します。

日本全体の平均として22,000人に1人
感染率が高い東京で6,300人に1人
そして職場のある岐阜県においては35,000人に1人といった確率になります。

では35,000分の1はどの程度の確率かイメージしてみましょう。

皆様のお馴染みの「お米」ですが、1合で6,500粒ぐらいだと言われています。

だいたい、東京でお米1合中の特定の1粒を引き当てる確率になります。
(※1合は乾燥したお米150gです)

日本で言えば3.4合、岐阜県に至っては5.4合中の1粒です。

どうでしょうか?少しは具体的なイメージを持たれましたでしょうか?

決して楽観視しているワケではありませんが
この時点の確率だけを見ればとても早々に引くとは思えません。

むやみやたらに伝えられた数字に恐れるのでは無く
こういったリアルな「確率」の推移を捉えたうえで
考えていく必要があると思っています。

但し、この考えはあくまで同じ水準で感染が拡大した場合の話であり
①感染者総数が増大したり、②実効再生産数が2.0などと推移すれば
ネズミ算的に増加するのでケースバイケースですね。

①例えば、同じ2倍でも元の数値が1か1000かを考えて戴ければと思います。
乗算したら2か2000と増加量が大きく変わりますよね。
②実効再生産数は複利計算のイメージです。1.0でしたら永遠と同じ数値ですが
仮に2.0であれば1x2・・2x2・・4x2・・8x2・・・と恐ろしいスピードに変化します。y=X^nのnの数値に該当します。n=2であれば二次曲線を描きます。

ゼロにできないものへの向き合い方

確率的なお話を申し上げました。

個人的には当時点での確率は低く感じると述べましたが
いくら確率が低かろうが「ゼロ」で無ければ絶対という言葉は使えません。

そして、感染源は目に見えないウイルスですので、
実際にその場に存在するのかしないのかさえ判りません。

ですから、人が集まる職場において無責任に
100%適切な対応を行っていますので
安心して下さいなんてことも言えません。

人が一切介在しないオートメーション完結の事業活動や
宇宙服の様な完全武装で出勤ならともかく
2名以上の集まりがある時点で感染リスクはゼロでないとなると
100%の安心を求められるなら出勤しないで下さいとなってしまうワケです。

トレードオフの話で申し上げた通り
生きている事は様々な犠牲の上で成り立っていると考えております。

最善だと思う努力を行っても、最良の選択と思ってしたことも、
陽が当たるばかりではなく、必ず影が存在することが
「苦悩」であり、お伝えしたい事です。

特に目に視えない相手では試算が難しく
いくら考えても決定打や正解に至れない状況で苦心しており、
意図せず感染してしまった方々が悪者扱いにされない様に願うばかりです。

そう、本当に恐ろしいのはウイルスではなく人間の負の心です。

大昔の漫画ですが「デビルマン」という作品で
人間の負の心(過剰な怖れや猜疑心)による自滅が描かれています。
作品中ではウイルスの代わりに悪魔で表現されています。

なお、徐々にワクチンの開発、臨床試験が完了しだしているとのことで
国内での配布もそう遠くないでしょう。

ワクチンも治療と言うより、感染や重篤化の予防がメインとの認識ですが
皆様が安心して生活できる日が一日も早く来る事を切望しています。

苦悩編は以上になります。

あくまで私一個人の考えであって、
知見の低さや偏りなど多々あるかと思いますが
何かしら響くものがあれば幸いです。

衛生管理者とは?

ググって頂ければ、容易に多量の情報・・・主に資格取得プランが検索ヒットするかと思いますので、ここではシンプルに私の認識を説明させて戴きます。

一言で表すと「労働安全衛生法の使者」という解釈で良いかと思います。

もう少し砕いて言えば、労働安全衛生法を盾に従業員の安全と健康を護る・・・更には快適な職場環境づくりに関わる全般をターゲットにした業務を請け負う職務というワケで取り組む内容は無限大といったイメージでしょうか。

ちなみに労働安全衛生法とは「労働基準法」の発展・詳細版みたいなものです。

労働基準法

「最低限」の労働基準を定めたもの

労働安全衛生法

産業の発展と共に、労働災害や健康被害が増加し、「最低限」の労働基準の遵守だけでは
対応できないため、労働災害や健康被害を防止することにスポットを当てて
拡張・詳細化し、労働基準法から独立させた兄弟法
・・・とこんなイメージで良いかと思います。

取得の経緯

私の場合は、勤め先(会社ではなく事業場)の人員が50人を超える見込みとなり
法対応の為、会社から取得の指示を受けたといったところです。
つまり、自身から進んでではなく「会社指示」を受けてと、取っ掛かりは受け身でした。

資格取得の労力

試験申請

労働基準法を初めとする各法規に明るい「総務系」の方ですと、非常に有利かと思います。
ですが、私の場合はどちらかと言えば「技術系」の経験の方が多くを占めていたので
法規など「新たに記憶」するのが少し大変でした。

また「一発合格」という目標があったので、試験には「短期間」勝負で臨みました。

これは、余裕を持った設定だと気が緩むのことと
一時的な記憶がそうは持続しないとの考えからでしたが
結果的に功を奏しました。

ちなみに私の職場では総務部門が無く
試験の申請から必要書類(事業者証明の請求など)の準備・チェック等
すべて自身で行いましたが、これが結構面倒でした。

規模が大きい会社様でしたらこんな労力は不要でしょうけど
切手すら無く郵便局に買いに行ったりとか。
加えて受験資格の証明として「卒業証書」も必要で、大昔の書類準備も手こずりました。

試験勉強

試験日は2019年7月9日を選び、
ゴールデンウィークの開始と同時に勉強を進めました。
期間途中は色々と用事が立て込み、実質期間は2ヶ月弱でした。

試験日の2週間ほど前からは、勉強の為と称し勤務を定時近くに終え
日当たり4~5時間をキープしました。

ゴールデンウィークは時間が纏まって取れるチャンスではありましたが
世間ではエンジョイの嵐が吹き荒れている中、自分をいかに律するかが正念場です。
意思が豆腐の様に柔らかい私でも日当たり6~8時間を勉強に当てましたが
適度な休憩も長続きさせるコツかと思います。

使用したものは、ほぼこの1冊の問題集だけです。

平成29年~25年の過去問集・・・2017年ちょっと古いのですが
講習の教材を頂いたものになります。【中央労働災害防止協会様より出版】

5択の問題の下に解説欄があり
一定のテーマごとに重点ポイントが纏められた解説ページが
設けられていますので、非常に使いやすく、理解度の確認も重宝しました。
600ページとボリュームも満点でした。

内容は第一種の有害業務に係るものを包括的に含んでいますので
第一種でも第二種のどちらでも使えるかと思います。

勉強のコツ

私は昔から公式や数値や名称を丸暗記するのが苦手。

イメージ図で右脳の力を借りたり、特徴別に一覧表を自作して
「体系的」に覚えることで記憶の負荷を減らす工夫をしました。

こちらは、私がweb上で公開されているデーターを参考にして
エクセルで特徴別にまとめたものの一部です。

試験前の終盤では、この様な一覧表が20ほど出来上がりました。
これらの資料は、それほど頭には入りませんでしたが
分散した幅広い情報」を整理して覚える意味では重宝しました。

一方で、それほど情報の幅は広くないものの
よりスポットを当てて重点的に覚えたい場合については

言葉(キーワード)の違いの比較や、階層はシンプルに
「手書き」で書き出してみてると頭に入りやすくなると思います。

そのほか問題の中には、流れや順序を問われるものが多くあり
図に矢印を加えるなどして「工程別」に理解を深めておくといいかと思います。

また前後の関係も含めて一連の流れを理解しておけば、変形出題にも対応できます。
エクセルやパワーポイントの図形機能(特に矢印)は、なかなか便利ですのでお勧めです。

流れや順序の他、「部位ぶい」つまり、位置関係についても
図で理解するのが早いと思います。
エクセルで簡単に表現したものでもいいので
兎に角「自分」で作図し、説明文を添えておくと
後から見返した際に記憶の戻りが早くなると思います。


こちらもエクセルを使って作図したものですが
作図した後に、手書きの方が早かったと後悔した資料です。

Web上では無数の情報がいくらでも入手できますが
イメージ図は自分の手で描いたものが馴染み易く記憶の定着が早くなるかと思います。
※他人が作成した綺麗な図では、なかなか視覚的な刺激がありません。
イビツでも自分自身で描いた「アナログ」が脳をより強く刺激します。

資料づくりを手書きを主流に切り替え、纏めてゆくと
思いのほか記憶の定着が加速してゆくのを実感できました。

図を手書きするには、やはり位置関係を理解しないと表現できません。
つまり、書き終えた段階で5~6割近く脳内に刷り込まれます。

最終的にどうしても単独で覚えるしかないものは「語呂合わせ」も仕方なく使いました。

こちらは覚え方の有名どころのフレーズをお借りして、自分で書き直したものです。
キーワードを覚えやすい様に並べ替えたり、「おふざけ要素」を入れると
頭への定着が進むかと思います。

しつこい様ですが
図や絵を「自分」で描くことは本当に有効だと思います。

あえて私が描いた超絶下手クソな絵を恥じらいもなく
(実際は相当恥ずかしいのですが)紹介したのは
「目的は覚えること」だからです。

「上手く綺麗に描く」ことに越したことはありませんが
覚えられたら何でもイイかと思いますのでご了承願います。

勉強時間の配分

試験は大きく3項目(関係法令・労働衛生・労働生理)の枠組みとなりまして、それぞれ最低40%以上の足切りがございます。極端に不得意・苦手項目があると他項目が満点でも挽回できないという厳しい掟があります。そして合計得点は60%(240点)以上が必要になります。

詰まるところ、バランス良く勉強してネとなる訳ですが
そうも言ってられない方は「傾斜配点」を意識して取り組まれると
効率的かと思います【黄色塗りのマス部】。
例えば10問で80点の科目もあれば7問で70点と1問の得点配分が異なります。
つまり、1問8点の問題より1問10点の問題を落とさない様に
勉強時間を割り振るということですね。
特に労働生理では問題数が10問しかありませんので
総得点としては低いのですが、7問落とすと他科目での挽回が不能となり、不合格になります。


そして、最も押さえておいて戴きたいことは出題の頻度を把握することです。


毎年繰り返し出題される項目と数年おきに出題される項目については
問題集の冒頭ページに記載されていたり、Web上でも調べられますので
頻出問題は重点的に取り組むことをお勧めします。

問題集の取り組み方として
初回は問題を解くという事は忘れて、先ずは出題の内容やどんなことを問われているか
イメージを把握しながら解答を見てゆきます。
ある程度の項目で区切って、記憶が冷めないうちに2回目を行います。
すると、おぼろげでも答えを覚えている場合があるので
一応答えを見ないで自力で解答してみます。
そこで解答して正解だった場合は問題ページの隅に〇を付けておきます。
全く解らない、覚えていない場合は✖を、だいたいは掴めたが不安が残る場合は△をと
理解度のレベル分けをしてゆきます。
これを3回4回と繰り返し、✖が残ったページが無くなるまで根気よく続けます。

過去問を数年分も行えば、何度も似た様な問題文が視えてきます。
こちらは出題側として重視しているポイントで
若干前後のフレーズが変わってきますが、確実に得点源としたいところです。

フレーズ変化のバリエーションを把握する為にも
頻出問題のグループは、周囲の問題も含め5問全問(全文)の
記述の違いパターンを覚えておくといいかと思います。

試験直前の戦闘力

1冊の問題集である程度の自信が出てきたので
web上で公開されている過去問にもチャレンジしました。
採点の時間効率を考え、解答用紙はエクセルで自作しました。

過去問10年分で平均95%以上は正解となるレベルでした。

解答の所要時間も40分程度と、勉強当初の5分の1ぐらいまで短縮できる状態でした。

2019年度試験の感想

結構な自信も持って臨んだ試験ですが

難易度は過去問と比較にならないほど「難しく」感じました。

出題ターゲットが教本の枠外(参考程度に掲載されている部分)としていたり
直近のトピックス(精神・こころに関するもの)の出題ウェイトが高くなっていました。
勉強期間の兼ね合いでメモ程度にしか把握していなかった手薄なトコロを
見事に突っ込まれ、得点を殆ど稼げませんでした。

このメモに関しては結果的に全く役に立たず、メモ書きした項目に関する
「深堀り」がターゲットとなっていました。→職場への復帰プラン?何ソレ美味しいの?
そんなところまで読んでないし・・・という言い訳も後の祭り。

こういった無理ゲー感を味わう事を回避する為には
法改正や新規で導入されるトピックスに関連するものは
全般に目を通しておかないと太刀打ちできないと痛感しました。

一度でも目を通しておけば何とかなったかも知れませんが
ヤマ張り・決め打ちでは「出直してきて下さい」と軽く門前払いを喰らうというワケですね。

また出題の傾向が従来の「間違いを見つけ出す」ものから
「正解を選ぶ」タイプへシフトしていた為、解答に要する時間も多くなってしまいました。

前者の場合であれば、「誤ったキーワード」を見付けた時点で
瞬間的かつ確信を持って選択できますが
後者の場合は難易度が単純に「5倍」程度跳ね上がります。

何故なら、後者の「正解を選ぶ」タイプは、5択全ての文面に
「誤ったキーワード」の有無を確認する必要があるからです。

しかも必ず過去問で頻出した「誤ったキーワード」が準備されているワケではなく
文面全体で正誤の判断をしなければならないというパターンが殆どでした。

私の場合、迷った設問の殆どが残り2~3択まで絞れるが
後は「勘」に頼るしかないと言った具合いに、非常にもどかしい思いをしました。
全く予備知識が無ければ、5分の1(20%)
ある程度勉強しておいても2分の1から3分の1(33~50%)の
正解率といった感じでしょうか。

自己採点では7割程度はキープできてそうだが
残りの2~3割は合っているか判らない状態で試験場を去りました。
合計点はともかく、各項目の足切り40%未満になっていないかが多少不安でした。

試験を終え、結果が判る7/17までは合否と言うより
また直ぐに試験を再開できる様、問題集をスタンバイさせておきましたが
できればもう試験の為の勉強から解放されたい想いで煮詰まっていました。

結果はWeb上でも公開されるので、最速で受験番号を探します。
かなり番号が飛び飛びだったので、言われているほどの合格率ではなかったと記憶しています。

ドキドキが最高潮に達した際に、自分の受験番号を見付け、感無量の想いが込み上げました。
何とか念願の一発合格を果たすことができ、苦労が報われたのは今でも鮮明に覚えています。

教訓

過去問では誤りを見付けるタイプを主軸に点数を稼げてましたが
今後は全問の理解が要されることと思われます。

また、1つのキーワード単体で覚えるのではなく
関連する内容をザックリ把握しておかないとまるで役に立たないかと思います。
頻出キーワードについては、進行の順序や経過における変化、存在場所、組み合わせや
作用など肉付けして武装レベルを上げておくと、変化球に驚かないで済むかも知れません。

以上が記憶力が弱い私なりの試験合格への戦いざまでした。

1ミリでもお役に立てれば幸いです。

最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました。


とりあえず、今回はこれにて一旦記事を締めさせて頂きます。
また関連内容について続編を上げていきたいと思いますので
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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イッシぃ~
自身の体験談を基に「価値ある情報、楽しみに繋がること」を発信し、少しでも皆様の生活のお役に立ちたいと考えています。 思ったことを実現する力「行動」のキッカケになれれば幸いです。 そろそろ尖った人生へ乗り換え準備中♨♨♨

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