どもイッシぃ~です。
突然ですが、仕事場で死を覚悟したことってありますか?
世の中には、常に危険と隣り合わせとなる仕事も少なくありません。
ですが、誰もが好き好んで「危険と隣り合わせ」な仕事をやりたいハズもなく、給料の高さや何かの理由があって「仕方なく」している場合が殆どだと思います。
そこで今回は、化学プラントは危ないと痛感した体験を紹介させて頂きます。
化学プラントで働くなら
命を落とす危険性が非常に高い仕事として向き合う覚悟が必要
である理由を体験を元に説明させていただきます。
この記事を見たら
仕事は給料だけで選ぶものではない
と納得いただけるのではないでしょうか。
これから、化学プラントで働こうと思う方は絶対この記事を見て欲しいです。
■この記事の信頼性について
東証一部上場企業の石油化学コンビナート(化学プラント)で生産技術スタッフとして約4年勤務していた実体験より回想を交えて記載しています(2005年~2009年)。
それでは、リアルに死を意識した場面をどうぞご覧下さい。
化学プラントで死を意識した経験
石油化学プラントの仕事と言っても、企業の規模や形態によりその中身は多彩ですが
一般的な製造業に比べ、非常に危険性が高いと思う場面が数多くありました。
もっとシンプルに言えば
化学プラントで働く事は、命を落とす危険性が非常に高い
と、こうなります。
この様に感じたのはワケがあり、その理由となる実体験を紹介したいと思います。
化学プラントで働くリスクの内容については以下記事で紹介しています。
コンビナート敷地内の爆発事故
それは、慢性的に瞼が重くなる昼下がり。
私は事務所内で、半分船を漕ぎながら翌日の作業指示書の作成に取り掛かってた時のことでした。
突然、轟音が鳴り響き、共に窓や壁がビリビリと!!!
「ドゴォオオオオオオオオオンッッッ~!!!!」
!!!???
爆音の正体は・・・・
後から判ったのですが、なんとコンビナート敷地内の工場が吹っ飛んだのです。
幸い「爆発事故」が起きたのが工場内に人が居なかったタイミングだったとのことで、死人は出なかったものの、恐ろしい話です。
自社プラント内での破裂事故
実は私、自社プラント内でも「ガス回収容器の爆発」を体験しているのです。
同じく事務所で作業指示の作成をしていると
「バカァ~ンッ~!!!」
と大きな破裂音が耳に突き刺さってきました。
もちろん、トラブル対処の任務責任を負うスタッフ職の私も、音の発生した現場に駆け付けます。
・・・が、現場に向かう途中で激しい喉の痛みを感じ、膝を付いてしまいました。
そう、周囲に漏れ出した大量の「●●●ガス」※を吸って意識がモウロウとしたのですっ!!
※高濃度暴露では麻酔作用がありますし、発がん性 (区分1A)もあります。
防毒マスクを着用し、破裂音が発生した設備を探していると運転班の班長さんから連絡が入りました。
駆け付けた場所は、重合反応で未反応だった残留ガスを回収するタンク。
タンク上部の一部分にポッカリと穴が空いていました。
タンクの厚みは20~30ミリで鉄製だったのですが、破裂した金属片が周囲に散らばっていました。
ちなみにこの金属片はかなり遠くまで飛んでいたものもあり、これが身体に当たっていたら死んでいるだろう破壊力があったことは簡単に想像できます。
当件については、タンクの経年劣化でタンクがガスの内圧に耐えられなくなってタンク容器が破裂したので爆発ではないのですが、人命への危険性は以下の通りです。
■物理的な危険
圧力容器の破片に衝突する。
■化学的な危険
有毒ガスに暴露する、吸引する。
と、まぁこの件については確実に死ぬというワケではないですが、リアルに死を意識した場面は、この他にもあります。
自社プラントの暴走反応
とりわけ、化学プラントでは「高エネルギー」を使う・発生する場面が多いのです。簡単に言えば、「高温」「高圧」の取り扱いですね。
そして、もっとも気を使うのは「化学反応」なのです。
使う分については、設計上の耐性が確保された配管や設備なので、点検やメンテナンスを怠っていなければ、大きな心配はないのですが・・・問題は「化学反応の暴走」です。
今回の記事で一番、死を間近に感じた出来事になります。
その日、時計の針は19:30ごろを回った頃に、運転班から放送で計器室に呼び出されます。
駆け付けると、「重合反応の発熱温度が上限に達している」との説明を受け、監視モニターで反応ステータスを確認すると・・・刻一刻と反応温度の上昇が進んでいるッ!
監視モニターの通知画面には上限値に達した警報が止まらないッ!!
もちろん、反応設備には冷却する装置があり、反応温度を一定にするコントロールが行われているのですが、冷却が温度上昇に追いついていない・・・
既に冷却システムのバルブ開度は100%と冷却能力をフルに使っていてのこの状態ッ!
まずいッ!! マジでマズいぞ!!!
このまま温度上昇が続けば、反応の内圧が圧力容器(重合槽)の耐圧を越え爆発する可能性があるッ。
様々な要因が重なり合っていることは判るものの、悠長に考えている暇はない!!
「強制的に反応を終了させるか!?・・・どうするッ、どうするッ!!!」
※強制的に反応を終了させるには、反応失活剤を重合槽に注入させるシステムを作動させます。
これを使えばロットアウトだけでなく回収・廃棄・復旧作業など甚大な工数と莫大な損失になるので最後の最後の手段になります。
頭が熱を帯びるほど動揺し、心臓の鼓動がピークになろうとしていたその時、
追い打ちを掛けるかの様に
計器室のアナログ警報器が一斉に鳴り出したのですッ!!
「ビーッ~~~~!!」
「ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!」
「ブゥーッ!! ブゥーッ!! ブゥーッ!! ブゥーッ!!」
「ビーッ!! ブゥーッ!!ビーッ!! ブゥーッ!! ビーッ!!」
普段のプラント運転では、アナログ計器から警報が発生することはほぼありません。
それが一斉に鳴り響く状況は、何も知らない人でも相当ヤバいと思うことでしょう。
例えるなら
「爆発まであと2分」とカウントダウンのアナウンスが流れ、必死の脱出を試みる映画の場面でしょうか。
そして更に恐怖を覚えたのが
同行してもらった計装機器の専門プロ(グループ会社の超ベテラン)が、この警報に
「素で驚いていた顔」を見たことです。
「こんなの初めて」という表情がよりリアルティのある恐怖を煽ります。
ちょっと、ちょっと!!
そこは、よくあることや ハハハッ って安心させて下さいよぉ~!!
もちろん、そんな冗談を言っている場合でもなく・・・
・・・あ、コレ死ぬかもな・・・でも、計器室で爆発に巻き込まれる最期って
マジ嫌やな・・・。
ある意味冷静に死に向き合う自分がそこに居ました。そして、墜落する旅客機を必死で立て直す「機長」の心境が解かる気がしました。
必死の対応の末、その反応は何とか強制終了させることができましたが、圧力容器の限界(安全弁の作動)に到達していたコトを考えると、改めて死と隣り合わせの場で働いているんだと実感しました。
※圧力容器と表現していますが、100㎥ぐらいの巨大な反応槽なので
爆発すれば、簡単にプラントの建屋全体が吹っ飛ぶハズです。
厳密に言えば、安全弁から圧力が逃げ出すので暴走反応が停止しなかった場合を想定しています。
まとめ
化学プラントでは過去より事故が多く、保安・安全への取り組みを第一優先に行われています。
自社内においても、それは例外ではありません。
しかし、事故は非常に狡猾な生き物です。
ほんの、僅かな僅かな安全のホコロビを常に狙っているのです。
化学プラントでは、いつ事故が発生しても不思議ではない「高エネルギー」を扱う仕事であることを認識することを強くお勧めします。
そして、事故が起こった場合、「高エネルギー」は「死亡事故」に繋がる危険性が非常に高いと言えますので「生命保険への加入」も視野に入れたいですね(笑)
ブラックジョークになってしまいましたが、本当に怖いですヨ。
お金は命あってのものですし・・・ではでは★
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